『トルネコ』のようなローグライクゲームと『リズム天国』のようなリズムゲーム。この二つが融合するといったら、みなさんはどんなゲームを想像しますか?
どーも!「月末にニンテンドーゴールドポイントが失効になるよ」というメールがきて、まんまとスイッチのゲームの検索を始めたゲー吉です。
たいしたポイント額ではなかったのでインディーズゲームを物色していると、あるゲームの評判が良さげなのが目に留まりました。そのゲームは3000円弱と比較的割高だったのですが、評判の加速度に背中を押されて購入しました。
ということで、今回のゲームは『ケイデンス・オブ・ハイラル(以下ケイデンス)』です。
クリアタイムは約6時間でした。
これ以降がレビューとなります。ちなみに、『ケイデンス 』は『クリプト・オブ・ネクロダンサー』というゲームが元になっていますが、そちらは未プレイです。
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評価:不一致ゲー★★☆☆☆
『ケイデンス』は、ローグライクゲームの魅力をリズムゲームが消し去ってしまっている、食い合わせの悪いゲームです。
- ローグライクはじっくり考えられるところがイイんだ!
- リズムゲームが苦手
悪いところ
ローグライクの魅力が減少
「ローグライクの魅力は、ピンチにあり」
ローグライクのデスペナは所持品のロストです。このペナルティはかなり重く、下手すると数時間のプレイが無駄になってしまいます。なので、ピンチになって「死ぬかも」という考えがよぎり始めると、途端に行動が繊細になってきます。
このときの「失敗できない緊張間の中、全ての敵の位置や行動などの状況を把握したうえで最善の1手を選択していき、ピンチを打開する」という体験こそが、ローグライクの魅力であるとゲー吉は考えます。
『仁王』のときにも同じようなことを書きましたが、ローグライクのデスペナで失う時間は『仁王』の比じゃない場合が多いので、より強いプレッシャーとなって襲い掛かってきます。
『仁王』のレビューはコチラをクリック↓
ただ、アクションゲームはプレッシャーがミスを誘発する方向に働くのに対し、ローグライクは逆にミスをしにくくなります。死にたくないので、頭の中で複数の未来を予測し、より安全な選択をするようになるからです。
この“予測する”過程だけでも意外と楽しいんですよね。死が迫っているのでそれはそれはしっかり考えますしね。
そして、予測した通りにピンチを切り抜けられると、クリアの達成感に予測が的中したという満足が加わって、適当に敵を倒して進んでいるときよりも心が揺さぶられるってワケです。これが、他では体験できないローグライク特有の楽しさ!
でも、『ケイデンス』は、ローグライクにリズムゲームを足したがために、この楽しさがほとんど感じられなくなってしまっています。
『ケイデンス』は、BGMに合わせて絶えずビートが刻まれていて、そのビートがコマンドの入力タイミングとターン数を表しています。
ただし、入力タイミングがビートと合ってなかったり、次のビートまでにコマンドが決められなかったりすると、強制的に“何もしない”を選択させられるというペナルティがあります。
なので、ピンチになったとき、どうしようか迷っていると、リズムにノった敵たちがズンズン近づいてきて囲まれてしまいますし、逃げながら対策を考えようにも、コマンド入力がビートに合っていないとたちまち追いつかれてしまいます。
じっくり予測する時間的猶予もなければ、プレッシャーがかかるほど操作をミスりやすくなるのです。なんという鬼仕様!これではローグライク特有の魅力が感じられません。
そんなにノれない
思い出してください。大縄飛びで入るタイミングをはかるときや、『スーパーマリオ3』でゴールのルーレットでジャンプのタイミングをはかるとき、あなたは意識せず頭を動かしてませんか?
そう、人間は一定周期のタイミングをはかるとき、成功率をあげるために、まるでフェス会場のオーディエンスかのように頭でリズムを刻むのです。
そのリズムをBGMのビートと合致させるというアイデアによって、タイミングを合わせやすくするだけでなく、タイミングをはかるゲームを遊んでいたつもりが、知らない間にリズムにノることの気持ち良さをも体験させる。コレがリズムゲームの楽しさのベースなのではないかとゲー吉は思います。
では、リズムゲームの王様である『リズム天国』と今回の『ケイデンス』を、リズムにノるという観点で比較してみましょう。
『リズム天国』は曲に合ったタイミングでイイ感じにボタンを押しつつ、成功したときも気持ちいい演出があり、かなりノっている感じがあります。
対して、『ケイデンス 』のボタンを押すタイミングは人それぞれで異なりますし、成功したときも“移動した”、“攻撃した”などのなんでもないアクションがあるだけで、ノっている感じが薄いです。
ノリノリになれる曲というのは、やはり前奏のツカミからサビ、さらにはブレイクやキメなどの曲構成が優れていると思います。つまり、ノるためにはこのような仕掛けが重要です。
連続で敵に攻撃して倒していくときは新感覚の気持ちよさだったので、コレが自然にたくさん体験できるような仕掛けが仕込まれてるともっとノれたのではないかと思います。
よいところ
精度を判定しない
この手のゲームは入力精度をPERFECT、GOOD、BADのように段階で判定してスコアの差をつけるものが定型でしたが、『ケイデンス』はOKかミスのどちらかしかありません。この方がノれるかもしれないと思いました。
自分が好きな曲に合わせてノるという場面を思い浮かべると、リズムをシビアに判定されるということはあまりよいことではありません。
だってノリノリでヘドバンなりジャンプなりの縦ノリ中に、「あなたはリズムが数フレームずれてますね」とかいちいち言われたらものすごく嫌じゃないですか?タイミングが少しずれてようが本人的にはノリノリで気持ちいい状態なんですから!
だとすると、リズムにノるということに関して重要なのはそこではありませんし、むしろ邪魔をしているような気さえします。
なので、『ケイデンス』がそこをとっぱらって新しく提示した、“リズムに合わせてコマンド選択をしていく”という部分には可能性を感じました。
あとは、ここをどれだけノリに絡めていけるかどうかの勝負というところ!
やり込み要素の充実
ビートが倍速の“ダブルビートモード”で、死んだら最初からの“ハードコアモード”をやると鬼のようにムズいです。まだライフが少なく、ビートにも慣れていない序盤でバッチリ心が折られました。ずっと敵のターンという感じです。
コレができるようになるとものすごい達成感はありそうです。瞬時の状況判断力と、絶えずリズムに合わせてボタンを押すスキルが必要なので、到達できるのは一握りな気がしますが…
他にもタイムアタックと少ステップクリアの世界ランキングがあったりで、やり込みの仕様は充実していると思います。
まとめ
以上のことから、『ケイデンス』は、じっくり考えて様々な結果を予測してから適切な選択をしていくことでピンチを打開するというローグライクゲーム特有の魅力を、イマイチノれないのに時間に追われるリズムゲームが消し去ってしまっている、食い合わせの悪いゲームと言えます。
それでは、次のゲームでお会いしましよう!
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